2013年1月10日木曜日

2013.01.09 伊東 乾 『人生が深まるクラシック音楽入門』

書名 人生が深まるクラシック音楽入門
著者 伊東 乾
発行所 幻冬舎新書
発行年月日 2011.07.30
価格(税別) 860円

● この人はどういう人なんだろう。
 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督を務める作曲家・指揮者である。かといって,音大は出ていない。東大・東大院での専攻は物理。
 東京大学大学院で作曲=指揮・情報詩学研究室をかまえる学者でもある。『さよなら,サイレント・ネイビー』で開高健ノンフィクション賞を受賞した作家でもある。認知脳科学を研究する科学者でもある。
 6年前に著者の『東大式絶対情報学』を読んだことがあるが,この種の本を書く人でもある。

● 「物心がついたときからクラシック音楽が生活の一部として身近にありました。敷居の高さを感じたことはありません」(p18)ということだから,やっぱり環境って大きいよねぇ。

● まず,クラシック音楽の敷居は高くない,習うより慣れろだ,と一般的な心得を説き,次にざっとクラシック音楽の歴史を振り返る。続いて,楽器原論,音響学入門的な話をしたあと,録音について簡単に触れて,「歌うクラシックのススメ」というコーダ?で終わる。
 その合間々々に著者がこれはと思う楽曲を紹介していく。

● キリスト教会の建築の変化が,音楽の変化をもたらしたというのも,言われてみれば納得の指摘。背が低く窓がないロマネスク様式では残響が長く残るから,音が重なると濁って聞こえる。だから単旋律の音楽,転調のない(少ない)音楽が都合がいい。ゴシック様式になると音が上に抜けるから,音を足さなければならなくなる。
 バッハとヴィヴァルディの違いを,ドイツとイタリアの教会建築の差から説明するのも,目から鱗。

● 頭脳明晰な人が書いたものは,このように平易になるという見本。聴く側にとっての入門書として,本書は随一のものかもしれない。いい本を読んだっていう充実感が残りましたね。

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