2013年2月16日土曜日

2013.02.16 日本写真家協会編 『写真集 生きる 東日本大震災から一年』


書名 写真集 生きる 東日本大震災から一年
編者 日本写真家協会
解説 伊集院 静
発行所 新潮社
発行年月日 2012.02.25
価格(税別) 2,800円

● 東日本大震災を記録した写真集をどれか1冊,手元に置いておきたいというのであれば,ぼくなら本書を推す。被災者の生活より自分の正義感を優先してしまっているようなキャンプションがわずかに散見されるのが,傷といえば傷だけれども,こちらを胸を突く写真が多く掲載されている。

● たとえば,146~147ページの夜の大船渡市を写した写真。「大船渡市市街は商業,漁業地域の狭い沿岸部と,市役所等のある高台とに分かれていて,その高台は津波の被害を免れた。震災後1ヶ月を経ても,未だ真っ暗な低地と,電気が通じ,生活の明かりが灯る高台とのコントラストが,夜になって際立って浮かび上がった」。

● 自然は人間の都合に合わせてくれない。人間はか弱き存在。それは大昔から言われてきたこと。そのか弱さが大震災で露わにされた。
 ぼくらは,人間のか弱さを観念的にではなく事実として知らされて,かくもオロオロしている。同時に,人間の愛おしさに気づかされて,驚いている。

● 巻頭に伊集院さんの「解説」が付されている。
 復興はなされなくてはならないが,それが最終目標ではない。震災前と同じかたちに戻れることは決してないのだから。それならばどうむき合っていけばよいのか。 まずは真実を知ること。 次に再生を信じて歩むこと。 そうして自分がいきていることを実感としてつかみ,生きることがいかに素晴らしいことかをわかることである。それが死んで行った人々の意志を継ぐただひとつの方法であろう。(p8)
 瓦礫の中でキャッチボールをする少年,サッカーボールを蹴る子,クラリネットを吹く少女,海の絵を描き出した子,家族の遺影に大粒の涙を浮かべ,それでも笑おうとする女の子・・・・・・。そのけなげさ,懸命さを見ていると,人間は,生きているということは賛美されるべきものだとつくづく思う。(p9)

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