2014年8月5日火曜日

2014.08.05 石田ゆうすけ 『行かずに死ねるか! 世界9万5000㎞自転車ひとり旅』

書名 行かずに死ねるか! 世界9万5000㎞自転車ひとり旅
著者 石田ゆうすけ
発行所 幻冬舎文庫
発行年月日 2007.06.10(単行本:2003.10.26)
価格(税別) 600円

● 単行本は3年前に読んでいる。たぶん読み返すことになるだろうなと思った。ところが,文庫化するにあたって,大幅に書き改めたという。ということならば,文庫も読んでみるしかないでしょ。

● 自転車で世界一周するというのは,それだけで冒険の域に達していると思う。実際,著者は生命の危機にも遭遇している。
 が,本書は冒険譚ではない。旅の途中で何度も体験した短い邂逅と別れを丹念に積み重ねていったものだ。

● 魅力的な人物が次々に登場する。その中から一人あげろと言われれば,「エイコさん」ですかね。12歳のときに骨肉腫で片足を切断。義足をつけている。
 口絵に彼女の写真が掲載されている。美人とか可愛いとかじゃなくて,「いい女」なんですねぇ。このとき32歳だったとすると,そろそろ50歳になるんでしょ。美人に経年劣化は付きものだけれども,「いい女」は年齢の影響を受けないと思いたいですな。

● ペルーで強盗に襲われ,身ぐるみはがされたあと,アメリカンエキスプレスのリマ支店で,トラベラーズチェックの再発行を要求する場面も面白い。
 理屈にならない理屈で拒否される。日本でも支払うべき保険金を支払わないですませる業界慣行がマスコミを賑わせたことがあったけれども,アメリカンエキスプレスも同様だ。
 いかにもありそうなこうしたトラブルにも,ユーモアを振りかけて文章にしている。

● アメリカのモニュメントバレーとグアテマラのティカルが,著者にとっての自然景観と人工造作物の第一になったようだ。いずれも,旅の早期に出逢っている。
 そういうものだろうなと思う。旅行者の感覚が旅に慣れていない間が勝負なんでしょうね。この種の出逢いは。

● ひとつだけ転載。
 彼は二年前,世界一周の旅に出た。(中略)その旅では時間の余裕がなかったため,どこにも寄り道せずに最短距離を走ったらしい。そして南米最南端,ウシュアイアにゴールしたとき,「これは俺の旅じゃない」と思った。 そこでいったん日本に帰って一から資金を貯め,今度は「大陸縦断」といった形を気にせず,好きなところを好きなように走るという自由なスタイルで旅を仕切り直すことにした。(p76)
 世界一週とか大陸縦断と謳うと,大向こうに受ける。受けるけれども,受けても仕方がないわけで,要は自分本位を貫く。そうでなくちゃね。
 自分本位がいい結果を生むかどうかはわからない。どっちにしたってやってみなくちゃわからない。わからないんだったら,自分本位がいい。

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